顎関節症の症状から治療法について

東京北区西ヶ原にある「おおさわ歯科クリニック」院長の大澤です

今回は顎関節症についてお話します。
顎関節症は、口を開け閉めする際に顎関節や顎を動かす筋肉に痛みが生じる疾患で、日本では生涯のうち約2人に1人が経験する身近な病気です。

顎関節症の主な症状には、口の開閉時に顎関節や周囲の筋肉が痛む、硬いものを噛むと痛みが増す、大きなあくびや口が開けにくくなる、口の開閉時に「カクカク」「ジャリジャリ」といった関節音がする、食事中に顎がだるくなるなどがあります。これらの症状のうち一つでも該当し、1週間以上続いている場合は受診をお勧めします。

現在、顎関節症は多因子病因説で説明されており、単一の原因ではなく複数の要因が重なって発症すると考えられています。特に重要な要因としてTCH(歯列接触癖)があります。TCHとは、必要のない時に上下の歯を接触させる癖のことで、多くの顎関節症患者様に見られます。通常、口を閉じていても上下の歯は接触していませんが、無意識のうちに歯を接触させる癖があると、顎関節や筋肉に持続的な負担をかけ、症状を引き起こします。その他、歯ぎしりや食いしばり、精神的ストレス、外傷、生活習慣なども要因となります。

当院での顎関節症治療は症状の程度に応じて治療を行います。生活習慣の改善として、TCHの認識と改善指導、硬い食べ物を避ける、ストレス管理、適切な姿勢の維持を行います。次にスプリント療法では、夜間に装着するマウスピース(ナイトガード、スプリント)により歯ぎしりや食いしばりから歯と顎関節を保護し、顎関節の関節円盤の整復、筋肉の緊張を緩和します。理学療法では開口訓練や咀嚼筋のマッサージを実施し、必要に応じて消炎鎮痛剤による薬物療法も行います。これらの治療と並行して早期接触等の顎の動きを阻害している歯の咬合調整を行います。

軽度の顎関節症では、適切なセルフケアで症状改善が期待できます。顎関節周囲のマッサージ、そしてTCHの意識的な改善が効果的です。

これらの保存的治療で改善が期待できます。日常生活に支障をきたす場合や症状が悪化する場合は、早めの歯科受診をお勧めします。気になる症状がある方は、お気軽に当院にご相談ください。